人の心に響く何かを

あるとき、決して常習犯ではないけれど、日々のストレスの中で痴漢をしてしまった人がいました。
私はその弁護を引き受けたのですが、彼は、痴漢をしたことがなかなか認められなかったんです。否認事件として活動することもできたんですが、被害者の証言も状況証拠もそろっている中で、本当にそれでいいのかなと。残念だけど、痴漢をしたことを認めた方が、本人のこれからにとってもいいわけです。

どうしたらその人が事実を認められるのか、とても考えました。毎日接見に行って、時間をかけて、何度も話しました。すると何度目かの接見のときに、突然わっと泣き出して、罪を認められたんです。
それからは、示談になって、手続きも滞りなく進み、結果、不起訴になりました。

自分の目と、判断を信じて

この事件をとおして、ああ、自分もこういう解決ができるようになったんだなと。依頼者の方は、弁護士と話していく中で、主張が変わっても全然構わないんですよ。
でも、やっぱり言うことを変えるのって、勇気がいるじゃないですか。それを乗り越えて、本当のことを言ってくれたのかなって。
「弁護士の仕事はここまで」って線引きするのは、好きじゃないんですよ。ご相談を受けている中で、それ以上は話す義務がなくても、言うべきだと思ったら踏み込んで話します。

依頼者の方とのコミュニケーションは、日々学びです。昔は、まっすぐに目を見て話す方がいいのかなと思っていましたけど、目をそらしてぼそぼそと話した方が胸に響いたということもあります。何が相手の心を動かすのかは、今でもはっきりとはわかりません。ただ、私たち弁護士は、自分の目と、判断を信じて、どっしりと構えている方が、依頼者の方も安心してくれるのかなということはわかりました。

そういう不動の心で、依頼者の方と向き合っていきたいですね。

弁護士であり、ライターであり

もともとは出版社で編集者として働いていました。音楽雑誌を担当していたんですが、編集の仕事って感覚的な部分が大きいので、学問に裏付けされた、体系だった仕事をしたいなと思ったんです。

それで司法試験を目指して、弁護士になったのですが、今でもライター業は続けています。でも、今はライター業と弁護士業の仕事がかけはなれていて、これって自分じゃなきゃ書けないものなのだろうかとか、せっかくだったら弁護士の仕事の中でライターの経験を生かしたいなと考えています。

やっぱり、自分にしかできない、四六時中そのことを考えているような、夢中になれる仕事をしていきたいですね。

経歴

東京弁護士会所属
2000年3月 京都大学総合人間学部 卒業
2011年3月 一橋大学法科大学院 卒業
2000年4月 株式会社ロッキング・オン入社
2006年4月 株式会社平凡社入社 (2007年10月まで勤務)
2011年8月 ファイナンシャルプランナー3級
2014年4月 エンターテインメント・ロイヤーズ・ネット

メディア掲載履歴

2017年3月 『realsound映画部』『the OA』ドラマ評を寄稿しました。
2016年10月 『日経DUAL』離婚について取材を受けました。
2016年10月 『realsound』チケット高額転売問題について寄稿しました。
2016年7月 『realsound映画部』『FAKE』映画評を寄稿しました。
2015年7月 『realsound』盗作裁判について寄稿しました。
2015年7月 『情報ライヴ グッディ!』盗作事件についてコメントを寄せました。

人となり